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高市総理の所信表明演説――連立合意からのトーンダウンPart③

kitanoyuko

維新の本音と「身を切る改革」――定数削減ポピュリズムを斬る

最後に、日本維新の会の姿勢についても触れておきます。

維新は連立合意で看板政策である「身を切る改革」を盛り込み、具体的に「衆議院議員定数を1割削減(約46人減)する法案を臨時国会に提出し成立を目指す」としました。

吉村共同代表は「衆院定数1割削減法案を直ちに提出する」と明言し、外形上は自党の原点である行財政改革にこだわる姿勢を示しています。

しかし、定数削減自体は、一見すると政治家自ら身を削る痛み伴う改革のように聞こえます。

実際、国会議員定数の削減は昔から人気取りの定番公約であり、有権者にもウケが良い傾向があります。

ここが重要で、冷静に考えると、定数を減らすことが即ち政治改革の本質ではありません。むしろ国民の多様な声の反映という点では、議席数を減らすことにデメリットもあります。特に小政党や地方の声は相対的に届きにくくなる恐れがあります。

ちなみに2025年の国会議員一人当たり人口の世界各国の数値は

イギリス   47,000人
フランス   74,000人

オランダ   79,000人
カナダ    92,000人

イタリア   98,000人
ドイツ   104,000人
日本    170,000人


となっており、決して日本の国会議員数が多いわけではないことがわかるはずです。

維新がこれほど定数削減に固執する背景には、自らの地盤である大阪など都市部での圧倒的な強さを武器に、相対的に弱い地方や他党勢力を削ろうという思惑が透けて見えます。

現行の小選挙区比例並立制では議席削減となれば真っ先に削られるのは比例代表の定数でしょう。

比例区は少数政党が議席を得る生命線ですが、そこが減れば新興勢力には不利に働きます。維新は既に野党第三党から与党第二党へとのし上がり、今や議席を削減しても自分たちは生き残れる自信があるのでしょう。

しかし新たに国政に挑戦する勢力や地域政党にとって、定数削減は政治参加のハードルを上げる改悪になりかねません。

連立合意では一応、「時代に合った選挙制度の確立」のため中選挙区制の導入も含め検討すると明記されています。

維新・自民両党で衆院選挙制度に関する協議体を設置し、現行の小選挙区比例並立制の廃止や中選挙区制への移行なども議論するとしています。

中選挙区制はかつて採用されていた制度ですが、1選挙区から複数の議員を選出するため少数派の声も拾いやすいメリットがあります。

参政党としては、一極集中を避け広く民意を反映するために、中選挙区制の導入検討自体には賛成です。

しかし現実問題として、定数削減の法案提出が先行し、選挙制度抜本改革の議論は後回しになる可能性が高いでしょう。

私たちから見れば、維新の「身を切る改革」路線はポピュリズム的な人気取りに映ります。

政治家が自らの数を減らすことよりも、本来は政治家の質を上げる改革こそ重要ではないでしょうか。

例えば歳費削減よりも政官の癒着を断つこと、定数削減よりも国民の声を反映する選挙制度を整えることが本質だと考えます。

維新は与党入りするにあたり企業献金禁止を先送りし、一方で目玉の定数削減だけは真っ先に打ち出しました。このアンバランスさに、私は維新の本音を見る思いがします。

その背景には、大阪都構想の失敗のリベンジ。それは、副首都機能整備という名を借りた都構想の復活があるのではないでしょうか。

維新は「改革派」を演出しつつ、自身の牙城である大阪府内の小選挙区全てを維新議員で占めるという既得権益を守ろうとしているようにも見えます。

実際、大阪の有権者からは「大阪はチャイナタウン化しているのではないか」「夜の梅田や難波はもはや日本ではないように感じる」との声も一部で上がっています。

維新大阪府政が誘致したインバウンド(訪日外国人観光客)の急増や統治機構改革の副作用として、地元住民がアイデンティティの危機感を抱く場面も出てきました。

維新が掲げる「身を切る改革」の裏で、そうした声に十分応えていないことも看過できません。

参政党は広い視野に立った統治機構改革を提案していきます。

大阪など特定地域の既得権益を守るだけの定数削減ではなく、中長期的視点で国全体の統治の在り方を議論すべきです。

議員定数について言えば、減らす前にまず現行の選挙制度そのものを見直すべきでしょう。都市部と地方の格差が拡大する中、地方の声を国政に届ける工夫が必要です。

死票が多く民意を反映しにくい小選挙区制の弊害も議論すべきです。定数削減はそれら選挙制度改革とセットで論じて初めて意味を持ちます。

参政党は広く民意を反映し得る中選挙区制の検討には前向きですが、単なる人気取りの定数削減には反対であり、より本質的な改革を追求します。

参政党が示す真の第三極のビジョン

以上、長文となりましたが高市政権の所信表明演説を連立合意との対比で検証し、問題点を洗い出してきました。

総括すれば、今回の演説は連立合意で国民に示した大胆な改革像に比べて明らかにトーンダウンしています。

消費税減税策は影を潜め、企業献金禁止は先送りのまま触れられず、緊急事態条項など危うい改憲事項はぼかされ、教育改革の魂は感じられず、依然グローバル路線からの脱却も見えません。

維新も維新で与党入りの代償として主張を丸め、結局は古い政治に回帰しつつあるように見えます。

しかし、国民の皆さんにとって幸いなことに、日本にはまだ真の改革を訴える勢力が残されています。

それが私たち参政党です。維新が与党側についた今、参政党こそが体制に迎合しない真の野党的存在として浮上する可能性があります。

私たちは「与野党相乗りの古い政治とは戦う」という旗印を掲げ、自民・立憲・維新いずれにも染まらない、本当に日本人のことを考えた『日本人ファースト』の第三極を作り上げます。そしていずれ必ず国政の主流派に躍進することを目指していきます。

参政党は安易な妥協はしません。ここまで述べてきた政策課題について、私たちは次のようなビジョンと具体策を示しています。

  1. 思い切った積極財政による国民生活の立て直し
    • 消費税はゼロ%まで引き下げることも視野に入れ、国民負担率は35%以下に抑えるという大胆な目標を掲げます。
    • 減税と積極財政で国民の実質手取りを大幅に増やし、デフレ脱却と経済再生を図ります。
  2. 企業・団体献金の全面禁止
    • 企業や業界団体からのあらゆる献金は禁止し、政治資金の透明化を徹底します。
    • 政官癒着の構造を断ち切り、国民本位の政策決定を取り戻します。
  3. 外国人政策の見直し(移民の数量規制)
    • 安易な永住許可や帰化の拡大には反対し、外国人の受け入れ自体に日本全体で人口の5%までという上限を設けます。これは日本人の雇用・治安・社会統合を守るために必要な措置です。質の高い移民のみを厳選し、無制限な人口流入による国家の分断を防ぎます。
  4. 緊急事態条項の拡大に断固反対
    • いかなる非常時でも立憲主義と国民の基本権を守ります。現行憲法下でも有事対応は可能であり、内閣独裁につながる緊急事態条項の新設には明確にノーを突きつけます。国難においても民主主義と人権を堅持する国家であるべきです。
  5. 「心の教育」の復興
    • デジタル化だけではなく、日本の歴史・伝統に根ざした精神教育を充実させます。家庭や地域、国を愛する心、先人を敬う姿勢、豊かな人間性を育む教育こそ日本再生の礎です。道徳教育や歴史教育の立て直しに注力し、「国の根幹は教育」に立ち返ります。
  6. 食料・エネルギー自給率の向上
    • グローバリズムの波に流されず、自給自足できる強靱な経済を構築します。農林水産業の再生と食料安全保障、エネルギー資源の国産開発(再エネ・原発・次世代炉など)を推進し、海外依存から脱却します。
    • 日本の底力である地方産業を振興し、国民の生命と暮らしを守る供給網を確立します。
  7. 政治家自身の身を正す改革
    • 定数削減の前にやるべき真の改革を追求します。例えば天下り根絶、情報公開の徹底などで政治家の質を高めます。
    • 選挙制度も含め、国民の声を最大限反映する仕組みを整えることに注力します。身を切るパフォーマンスではなく、身を正す改革で政治への信頼を取り戻します。

最後に

高市総理の閣僚への指示に、『NTT法の附則に基づき、NTT法の廃止を含め、制度の在り方について検討を進める。』とあります。これに強い懸念を持ちます。

NTT法では、政府がNTT株の3分の1以上を保有することを義務づけています。しかし改正・廃止によってこの制限が廃止されれば、政府保有株を売却し、海外投資会社が取得する可能性があります。

通信網は銀行、電力、港湾、水道などのインフラと協調しているため、通信障害や情報漏洩が発生すれば国家機能に重大な影響が出てくることは、間違いがありません。

また、NTTが持つ様々な資産を外資に売却する可能性が生じます。

郵政民営化以来の「国有資産の民間利権化」となりえる可能性があります。NTTが持つ、ストリーミング技術とサイバー安全保障の低下改正によって、NTTの技術の透明性が低下し、外資や外国人役員のサイバー攻撃や技術流出のリスクが高まる可能性があります。

「通信・技術インフラを外資が支配することで、日本が情報経済も防衛も他国に依存する危険がある」という国家主権と安全保障の観点に立ち、NTT法の廃止まで検討している高市総理の指示に強い懸念を持っております。

内閣府『子ども家庭庁・男女共同参画』部会長として

私(北野ゆうこ)は現在参政党の内閣府担当部会において『子ども家庭庁・男女共同参画』部会長を務めています。

言うまでもなくGDP(国内総生産)を構成するのは「政府支出・企業の設備投資・個人消費」です。

その中で内需の拡大に直結するのは、国民が自国で結婚し子どもを産み育てることで個人消費を増やすことです。

積極財政によって家計を支援し、日本人が安心して結婚・出産・子育てできる環境を整えることが、将来の持続的成長に欠かせません。

現在の日本の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの平均数)は

1.15まで低下しており(令和6年)、人口維持に必要とされる2.07

を大きく下回っています。

この少子化傾向を放置してきた歴代政府の責任は重大であり、日本社会の活力を取り戻すには出生率回復が急務です。

参政党は大胆な少子化対策として「教育給付金」制度(0歳~15歳の子どもに毎月10万円を給付)を公約に掲げています。

現金ではなく教育デジタルクーポンで支給し、食費・衣服・習い事・塾など子育てに必要な用途に限定して使用できるようにします。

クーポンは発行後1年以内の使用に限定し、貯蓄に回らない仕組みとします。これによって子育て世帯の経済的負担を大幅に減らし、経済的理由で結婚や出産をためらう若者の不安を解消します。

日本人が安心して家庭を築き、子どもを育てやすい社会を作ることが、ひいては消費拡大と企業の国内投資を促し、日本経済の内需主導の成長に繋がります

さらに出生率が回復し人口減少に歯止めがかかれば、人手不足を理由とした安易な外国人労働者依存に頼らない強い日本経済を再構築できるのです。

いかがでしたでしょうか?

これが、私が考える高市政権・維新連立による所信表明演説についてです。正直、期待はずれな部分が多かったですが、私たち参政党は決して諦めません。

参政党は真に国家国民のための政策を粘り強く提起してまいります。古い政治の延長では日本は立ち行きません。国民の皆様と共に、日本再興のための新たな一歩を踏み出すべく、参政党は全力で邁進していく決意です。

私、北野ゆうこは「自分たちの国は自分たちで守る、そして創る」という気概を持った真の第三極勢力から、本当の『日本人ファースト』が日本全体の主流派となるべく、大切な祖国、日本の未来を、これからもコツコツ着実に切り拓いていきます。

今後も、一緒になって日本の未来を『明るく、豊かで、誇りのある国』として取り戻していきましょう。

3回に渡り、お読みいただきありがとうございました。

ABOUT ME
北野ゆうこ
北野ゆうこ
衆議院議員
1985年9月19日 京都府京都市生まれ 滋賀県守山市在住
携帯電話販売会社や夫が経営するイベント会社で経理の資格と経験を生かし勤務する
コロナ禍をきっかけに政治が国民に寄り添っていないことに疑問を持ち、日本人の生活を守るため立候補を決意。2024年、第50回衆議院議員総選挙で 滋賀第3区から参政党公認として出馬し
比例近畿ブロックで初当選
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